【テキスト講義第10回】問題解決に向けて

問題解決とは、心や身体の苦しみを解決することです。それにはその「苦しみ」がなぜ生まれてくるのかを知ることが大切です。原因、理由が分かれば私たちはどんなものでも解決することができます。

苦しみの原因 ― 欲求の生まれ、執着の生まれ


自分を変えて行くことの重要性をお伝えしましたが、次は、問題解決のために、心がなぜ悩み苦しむのかの根本的な理由についてお話ししたいと思います。

私たちが悩み苦しむのはなぜかというと、6つの感覚器官(目、耳、鼻、舌、肌、意識)が不快な感覚を受け取るからです。

では、なぜ私たちはある感覚を不快に感じるのかというと、それは、生存を脅かすからです。
つまり、私たちの心理的な反応というのは生存本能に突き動かされていると言えます。

そして、これには身体的な生存本能を脅かす場合と、心の生存本能を脅かす場合があります。前者は生活基盤の安定なども含みます。後者はいわば「自尊心」の安定です。

具体的な説明は後述の『行動原理』を読んでいただければと思いますので、ここでは、私たちの悩み苦しみというのは生存本能からくるものだということだけを理解してください。

そして、ある感覚が不快に感じる時、そこには、なにかしら生存本能を刺激する原因があります。

例えば、あなたを侮辱する言葉を耳で聞くか、あるいは文字を目で見たとします。そうするとあなたの心は苦痛を感じます。
その苦痛の根本はなにかというと、疎外されることへの恐怖心です。

人間は、もともと、文字通り一人では生きていけない存在です。環境と闘い生き残るために、文明が発達するはるか以前から人は人と協力することで生き残ってきました。
それはつまり、仲間から疎外されることはそのまま死に直結するということです。

現在は、人から嫌われたからと言って命の危険にさらされることはもちろんありませんが、人のDNAは人から疎外されることに危機感を覚えるようにできています。

そういった反応が苦しみの根本的な原因です。つまり、私たちの悩み苦しみというのは、生存を脅かされることによる恐怖心から来ます。

また、その反応はほとんど反射的に起こります。そして、その反応はどの段階で起こるかということがとても大切になってきます。次の図を見てください。

以下の6つの感覚器官が、6つの感覚器官に対応する6つの対象と接触することで様々な苦しみが生じます。

これは喜びが生じる元でもあります。そして、その後に、感覚器官と感覚器官に対応する対象が接触してから執着が生まれるまでの流れを図にしてあります。

6つの感覚器官と感覚器官に対応する対象

①目
②耳
③鼻
④舌
⑤身体(肌)
⑥意識

⑴色形
⑵音
⑶香
⑷味
⑸触
⑹心に触れるもの

続く

まとめ&ワーク

僕たちの苦しみは生存本能を脅かすことから生まれるということなんだ。
それは、身体の苦しみであっても心の苦しみであっても同じだよ。

ワーク

あなたの悩み苦しみの原因を深く考えて書き出してください。

これは独りで考えると難しいかもしれません。

例えば、あなたが職場の対人関係に悩んでいたとします。
その時あなたは、苦しみの原因は「嫌いな人に会わなければいけないから」だと考えたとしましょう。

しかし、そこからさらに一歩も二歩も踏み込んで考えてみてください。

なぜ、嫌いな人に会うことが苦しみになるのでしょうか

その時あなたは、
あの人のああいうところが嫌い、
ああいう態度が嫌い、
パワハラだから許せない、
話しができない、

などなど様々な理由っぽいものをあげると思います。

しかし、それも理由ではありません。
それは相手を嫌いになるきっかけにすぎません。

もっと踏み込んで考えていくと、
どんな人であれ人を嫌いになるということは、
その人が自分の身体的な生存本能を脅かすか、
心の生存本能を脅かすかしているはずです。

身体的な生存本能というのは、
暴言や暴力といった、直接的に感じる身の危険から、

その人がいるせいで仕事が辛くなり、
だけど、仕事をしないと生活ができなくなるから困る、

というように、生活基盤を脅かす場合も含みます。

心の生存本能とは、
ひと言でいえば「自尊心」を脅かすことです。

この辺は、講義がもっと進んでいかないとなかなか理解できないところかもしれませんが、今の段階では、自分が苦しみを感じているものと、その原因を自分なりに一歩踏み込んで考えてみてください。

そして、しっかりとメモしておいてください。

ここでしっかりメモをしておくと、後々自分の理解がどれほど進んだのか思い出せるようになります。

ワークの提出

ワークは下記フォームから提出していただけます。
頂いた内容には基本的にお答えしませんが、どのように取り組まれているかをこちらで拝見させていただきます。

こういう講義は独りで向き合わなければならないため、どうしても学習効率が下がります。

そこで、このような課題の提出を通して、
ご自分の学習のモチベーションアップにつなげて頂ければと思います。

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