お寺に坐禅を組に行くと、背骨をまっすぐに立てるように厳しく注意されることがあります。伝統的な坐禅や瞑想では姿勢をとても大切にしています。
瞑想を行う際の姿勢にも科学的根拠があります。今回は、なぜそれほど姿勢が大切なのかというお話と、そのために坐蒲は必須のアイテムだということをお話していきたいと思います。
正しい姿勢で瞑想することによる身体の変化
呼吸の改善:
背骨を伸ばして座ることで、胸郭が開き、肺の容積が増えます。そうすると、肺が正常に働くためのスペースが確保され、呼吸がスムーズになります。これにより、呼吸が深くなります。深い呼吸は副交感神経を活性化させ、リラックス効果が得られます。
また、骨盤を正しい位置に調整することで、腹部の圧力が増え、内臓の働きが活発になります。これにより、副交感神経が優位になり、消化や排泄の機能が促進され免疫力が向上します。
テレビでよく見かける林修先生は「親が子供に躾けなければいけない一番大事なこと」として「姿勢」をあげています。林先生は「姿勢の良い不良はいない」と言っていましたが、確かに姿勢を正しくして呼吸が深くなれば、副交感神経が優位になり、イライラや攻撃性が減りますので、理にかなったことと言えます。
また、リラックスできれば身体の疲労もすぐに回復できて勉強(仕事)の疲れも改善でき作業効率もアップします。子供の頃であれば、成長の促進に繋がり、スポーツなどに適した身体作りの役にも立ちますし、大人であっても病気などに負けない免疫力の高い身体作りに役立ちます。
これだけでも瞑想を正しい姿勢で行うメリットは十分に感じていただけると思います。
瞑想と脳の働き:
姿勢と脳の働き、特に前頭葉と扁桃体という2つの脳の領域は、密接に関わり合っていると言われています。
前頭葉は、意思決定、問題解決、計画立案、思考の柔軟性、行動の調整などの高次の認知機能をコントロールしています。これらの機能は、人が複雑な課題を解決するために必要であり、また、生活の中での日常的な行動を適切に調整するためにも重要です。
扁桃体は、脳の中で情動と関連する機能を制御する領域です。具体的には、恐怖や不安などの負の情動を制御する役割があります。また、扁桃体は、ストレス反応や自律神経系の調整にも関与しています。
姿勢は、この前頭葉と扁桃体の機能に影響を与えることが知られています。例えば、姿勢が悪い場合には、扁桃体の活動が増加することが知られており、ストレス反応などの負の感情が増大することが報告されています。
したがって、正しい姿勢を保つことは、前頭葉と扁桃体の機能を適切にコントロールするために重要です。正しい姿勢を維持することによって、前頭葉の高次の認知機能を促進し、ストレスや不安などの負の感情をコントロールすることができます。
私たちの心の状態というのは「脳」が作り出します。瞑想は心の状態の改善を目的に行うものである以上、それは「脳」の機能のコントロールそのものとも言えます。
そうであれば、正しい姿勢で瞑想を行うことがとても大切だとお分かりいただけるはずです。
循環の促進:
背骨を伸ばして座ることで、血液やリンパの流れが改善されます。これにより、酸素や栄養素の運搬が効率的に行われ、身体全体の機能が向上します。加えて、前述のとおり呼吸が改善することにより、血液内の酸素量も増えて脳に多くの酸素を送ることができます。また、深い呼吸によって横隔膜が運動し、腹部の太陽神経叢を刺激して免疫力を高めることにも繋がります。
正しい姿勢で瞑想するメリット
ここまで、正しい姿勢で瞑想をすることで起こる身体の変化を見てきましたが、ここからは、正しい姿勢で瞑想することのメリットを見ていきます。
ストレス軽減
正しい姿勢で瞑想を行うことで、上記のような働きにより、副交感神経が優位になり、心身がリラックスします。これにより、ストレスホルモンであるコルチゾールの分泌が抑制され、ストレスを軽減する効果が期待できます。
病気予防
正しい姿勢で瞑想を行うことで、副交感神経が活性化し、血圧が低下します。血圧が高いと、心臓や血管に負担がかかり、様々な病気の原因になることが知られています。正しい姿勢で瞑想を行うことで、血圧を低下させ、心血管系の健康を促進することができます。
漢方医学では「万病は血液の汚れから生ず」という考え方があるそうですが、血の巡りを良くすることは病気予防の第一とも言えそうです。
免疫力の向上
副交感神経が優位になることで、免疫力が向上するとされています。正しい姿勢で瞑想を行うことで、副交感神経の活性化を促し、免疫力の向上につながります。免疫力が高いと、病気にかかりにくくなり、健康的な体を維持することができます。
また、免疫力アップについてはたくさん触れてきましたが、瞑想が古来から様々な病を治してきたのもうなずける話ではないかと思います。
集中力の向上
正しい姿勢で瞑想を行うことで、脳がリラックスし、集中力が向上するとされています。瞑想は、外部からの刺激を取り除き、自分自身に向き合うことで、内面の世界を探求することができます。正しい姿勢で瞑想を行うことで、深い集中状態に入り、集中力が向上する効果が期待できます。
先程、林先生の話しをお伝えしましたが、林先生も、正しい姿勢で勉強することでなによりも集中力が身につくと言っていました。
瞑想をするから集中力がつくということもありますし、集中力がないとしっかりと瞑想に取り組めないということもあります。
しっかりと集中力を養っていくためにも、瞑想時だけではなく日常生活の中でも正しい姿勢を取り入れていっていただきたいと思います。
姿勢と自律神経の関係
最後に、姿勢と自律神経についてもう少し詳しくお伝えしたいと思います。
正しい姿勢で座ることで、自律神経のバランスが整い、交感神経と副交感神経の調和が保たれます。自律神経は、心拍数、血圧、消化などの生理機能を調整しており、バランスが整うことで、ストレスが軽減されます。
自律神経系の概要
自律神経系は、内臓や血管、内分泌器官などの働きを調節し、生命維持のための基本的な機能を担っています。自律神経系は、交感神経系と副交感神経系の2つの部分から構成されており、これらがバランスよく働くことで、身体の機能が適切に維持されます。交感神経系はストレス状態や緊張時に活性化します。一方、副交感神経系はリラックスや消化、修復などの機能を担い、身体をリラックスさせる役割を果たします。
姿勢と自律神経系の関係
正しい姿勢を保つことで、自律神経系のバランスが整い、交感神経と副交感神経の働きが適切に調整されます。
猫背や反り腰などの悪い姿勢は、神経や血管に圧迫や緊張を与え、交感神経の活性化を促すことが知られています。
一方、背筋を伸ばし、適切な姿勢を維持することで、神経や血管にかかる負担が軽減され、副交感神経が活性化しやすくなります。
姿勢の改善がもたらす神経系への効果
正しい姿勢を維持することで、自律神経系のバランスが整い、副交感神経が優位になることが報告されています。これにより、ストレスが軽減され、リラックスしやすい状態が生まれます。さらに、良い姿勢は、神経伝達物質の分泌も調整し、気分を安定させる効果があります。
姿勢の改善による自律神経系への影響
研究によれば、姿勢を改善することで、心拍変動(HRV)が改善され、自律神経系のバランスが整うことが示されているようです。
※心拍変動(HRV)というのは、自律神経系のバランスの良し悪しを示す指標として用いられます。つまり、心拍変動が大きいほど、自律神経系の調整能力が高いことを示し、心身のストレスに対する適応力が高いと考えられています。一方、心拍変動が小さい場合、自律神経系が過剰に興奮していることを示し、ストレスに対する適応力が低いことを示唆しています。
姿勢を改善し、適切な姿勢を維持することで、副交感神経が活性化し、交感神経の働きが抑制されることが分かっています。
また、良い姿勢を維持することで、脳内の神経伝達物質であるセロトニンやドーパミンの分泌が調整され、抗うつ効果やストレス耐性の向上が報告されています。これらの神経伝達物質は、心の安定や幸福感をもたらす役割を担っており、姿勢の改善によって精神的な健康が向上することが示唆されています。
正しい姿勢とは?正しい姿勢を取る方法
瞑想時に正しい姿勢で座ることが、これだけ素晴らしい効果をもたらしてくれることは十分にご理解いただけたと思います。
では、それだけの効果を出すためには、どのような姿勢を取ればよいのでしょうか。
瞑想の正しい姿勢
瞑想の正しい姿勢とは、
骨盤と背骨をしっかりと立てていくことです。
ポイントは、骨盤を前に倒す(おへそを前に押し出す)感じで、多少反り腰気味になりそうな一歩手前まで骨盤をしっかりと立てます。
※ただし、もともと反り腰気味な女性はやりすぎないように気を付けてください。
そして、そこから、背骨を一つ一つ積み上げるイメージでまっすぐに立て、その上に首と頭をまっすぐに乗せていきます。
横から見たときに身体が前傾せず、後傾しないように気をつけます。
※左右の傾きにも気を付けてください。
完全に力をゆるめている時はこのような状態です。
一見すると良い姿勢に見えますが、まだ若干背骨が曲がっています。ここからさらに背骨をしっかりと立てていきます。
骨盤とおへそを前に出すイメージで背骨をしっかりと立てて、坐蒲からまっすぐに座れるようにしていきましょう。
2枚を並べて比較してみると、その違いがわかりやすくなります。胸のあたりを見ていただくと、右側の正しい姿勢のほうが胸が前に出て胸郭が開いて呼吸がしやすくなっています。わずかな違いですが、この違いが大きな違いを生み出します。
また、骨盤とおへそを出しすぎて、反り腰になりすぎないように注意しましょう。
正しい姿勢で瞑想するためには坐蒲は必須
そして、この正しい姿勢で瞑想するためには坐蒲は必須です
試してみると分かりますが、坐蒲を用いないで足を組んで座ると、両ひざが浮きます。これか身体の構造上しょうがないことです。しかし、その姿勢では常に体感に力が入り続けています。
以前、瞑想会に一度だけ体験しに来た方がいて、その方は慣れているからと頑なに坐蒲は使わなかったのですが、浮いた膝とのバランスを取るため、身体が前傾になっていて、それでは長時間の瞑想には耐えられないだろうなと思ったことがあります。
これから真剣に瞑想を学ぶ方は必ず坐蒲を選んでください
ですので、これから瞑想を本格的に学ぼうとする方は、何をおいても自分の坐蒲を手に入れてください。
坐蒲はネットで探すと5000円前後です。
ですが、正しい姿勢で瞑想をすることでこれだけの恩恵があるのですから、それを考えたら安いものです。
市販の坐蒲は選ぶのが大変
ただし、瞑想初心者が坐蒲を探すのはちょっと大変です。
なぜなら、実際に触って確かめられるところはほとんどないので、買ってみなければどんなものが届くのかわかりませんし、届いたものが良いものなのか悪いものなのかも判断するのが難しいと思います。
一般的にお寺で用いられている丸い坐蒲は
数か月でつぶれてきます。これは形状的にしょうがないことです。
またおしゃれな坐蒲は高さが高すぎたり、逆に素材が柔らかすぎてその辺のクッションのほうがマシだったりします。
良い坐蒲を見つけるのはとても難しいです。
パナシーア瞑想のオリジナル坐蒲もご利用下さい
もし、坐蒲選びに困ったときは、
パナシーア瞑想で販売しているオリジナルの坐蒲をご検討ください。
これは20年以上瞑想を続けてきた私が、自分自身で一番座りやすい坐蒲を作りたいと思って開発し、手作りしているものです。
ですので、徹底的に座りやすさと姿勢の取りやすさにこだわって作っています。また、使い込みによるつぶれがないように、強度にもこだわって、作っています。
また、昨今の値上げラッシュで送料等どうしても安くできない面はありますが、それでも、ネットなどで買うよりは安く提供できるように努めています。
合わなければ100%返品を受け付けています
また、合わないのにお買い求めいただいても嬉しくないので、送料だけはご負担いただくことになりますが、使用後の返品も受け付けています。
パナシーア瞑想のオリジナル坐蒲は、販売して儲けるために作っているものではなく、自分たちの瞑想の道具として、また、生徒さんたちに正しい瞑想を教えるための大切な道具として作っていますので、本気で瞑想を学びたい方には使っていただきたいと思います。
ストアーズから販売していますので、
他も様々にご検討いただき、
お気に入りいただけたらご購入下さい。
オンラインショップ STORES
パナシーア瞑想オリジナル坐蒲
・4,400円(税込)
・100%返品保証(2週間以内にご返品ください)
・テキストで紹介している4つの座り方全てに最適です。
(結跏趺坐、半跏趺坐、あぐら、割り正座)
★ご購入前にご質問などあれば「お問合せ・ご相談からお気軽にどうぞ。
パナシーア瞑想オリジナル坐蒲の紹介動画
最後に「姿勢がもたらす社会的な効果」について
ここまで様々に、瞑想を正しい姿勢で行うメリットを見てきました。最後に、姿勢がもたらす社会的な効果について簡単に触れてみたいと思います。
できたらぜひ、次に外に出る時、すれ違う全ての人の姿勢を観察してみてください。駅で電車を待っている人の立ち姿勢、先を歩いている人の後ろ姿、同僚や仲間の座っている姿勢、そして、それらの人達からどのような印象を受けるかを感じてみてください。
きっと、その姿勢からその人の人間性が読み取れるはずです。
また、それだけではありません。料理人が厨房に立つ姿、ゴルフやスポーツをやる人の構え、勉強するときの姿勢、そういったことから、その人の熟達度を測れる気がしてくるはずです。
つまり、それは、姿勢ひとつであなたの印象もがらりと変わることを意味します。
周りの人のあなたに対する印象が変われば、あなたに対する評価が変わります。評価が変われば対人関係が変わります。対人関係が変われば、幸福度が変わります。幸福度が変われば、精神的、物質的な生活の豊かさが変わっていきます。
その上、姿勢によってあなたは健康で心も満ち足りた人生になります。
姿勢、
たったそれだけのことですが、
この人生を激変させてくれる力があります。
この一日のうちのわずかな瞑想の時間に
正しい姿勢でを取る訓練を積んでくださいね。
その努力があなたに大きな恩恵をもたらしてくれるはずです。
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