今回は、前回の動画【行動原理①】の補足とコメントについての返信を通して、「人に嫌われる恐怖心を消し去る理解法の話をしていきます。
youtube講義動画↓
【人に嫌われる恐怖心を消し去る理解法】(テキスト)
人から嫌われることを恐れる本当の理由
今回は、前回の「行動原理①」の講義の補足を行いたいと思います。
行動原理の講義はまだまだ導入部分で、ここからどのように「恐怖心」を消していくことになるのかについてはお話ししていませんが、今回は、動画の方にコメントをもらったのでそれに応える形で前回の講義の補足をしていきたいと思います。
行動原理では、心の恐怖心を理解することが大切なのですが、それを知ったからといって、すぐに恐怖心がなくなるというものではありません。
もちろん、正しく理解することによって、
一瞬で恐怖心の大部分がなくなる人もいます。
しかし、多くの人にとっては、
正しい理解をした上で、実践的な積み重ねを通して、
恐怖心の根を根本から絶っていきます。
今回は人から嫌われることを恐れる、
具体的な原因の一つを取り上げていきます。
嫌われることの恐怖心を消すためには、
自分がなぜ嫌われることを恐れているのかを知るのが近道です。
そこで、過去をちょっと振り返ってもらって、嫌われることを恐れた場面を思い出してみてください。実際に嫌われてなくても、嫌われたくないなと思った経験でも構いません。あるいは、今、周りの人を思い、「この人には嫌われたくない」という人を思い起こしてみてください。ただ、今回は、恋人やパートナーなどは除外してください。なぜなら、そこには様々な利害関係があり、色々な恐怖心が交じり合っていて話が複雑になってしまうからです。
今回はもっと、軽いつながりの人を考えてみてください。例えば、会社の同僚や上司や学校の友達やご近所づきあいの人達、SNSで仲の良い人などです。
そして、その嫌な気持ちを心に思い起こしてください。もし、その気持ちが心に思い起こせないのであれば、一度この動画を止めて、その恐怖心を心に起こしてから改めて聞いてみてください。
心にどれほど鮮明に思い起こせるかでワークの結果が変わります
ここでちょっと余談なのですが「心に思い起こしてください」というようなことは、この講義や瞑想ガイダンスでも良くお伝えすることですので、なぜ、「心に思い起こすこと」が大切なのかを説明しておきます。例えば、スマホが壊れて修理をお願いしに修理屋さんに行ったとします。その際、スマホを持ってこなかったらどうでしょうか。当然ながらスマホは直せません。
心というのもそれと同じように、心の奥深くに隠れている問題を表に持ってこないと、それを治すことはできません。
そういう事情がありますので、瞑想の効果を最大限に発揮するためにも、心の浮き沈みを外まで引っ張り出してきてください。
恐怖心を消すための理解法
さて、それでは、恐怖心を消すための具体的な理解法に入っていきましょう。
まずは「嫌われていると思う時の感覚」を深く観察してください。そして、嫌われる感覚を心に思い起こしてください。
思い起こされましたら、
その恐怖心をよくよく観察してみてください。
その恐怖心はどこから来ているのでしょうか?
本当に、その目の前にいる人に嫌われることを恐れているのでしょうか?
よくよく観察してみてください。
そうすると、嫌われることの恐れというのは、
目の前の相手から嫌われることではなく、
本当は、もっと別なことを恐れていることに
早い段階で気づくことができるかもしれません。
例えば、会社の上司や学校の中心的な友達や、
ご近所グループのリーダー的な存在など、
そういう人から嫌われることを恐れるのは、
その人から嫌われること自体を恐れているのではなく、
その人から嫌われることによって、
自分が不利益を被ることを恐れているのです。
また、そのような力関係ではなく、
どのような人からも、嫌われることを恐れるというのは、
嫌われること自体を恐れているのではなく、
自分を認めてもらえないことを恐れているのです。
ここはすごく大切なところなのですが、
嫌われることを恐れることと、
自分を認めてもらえないことを恐れることとは、
別なものと考えなければなりません。
表面的には、嫌われることを恐れるように見えて、
本当は、自分を認めてもらえないことを恐れているのです。
そして、ここからがさらに大切なところなのですが、
なぜ、自分を認めてもらえないことをそれほど恐れるようになったのでしょうか。
嫌われることの本当の原因の一つは「自分を認めてもらえないこと」
Sさんはここですでに察しているかもしれませんが、
それは、幼少期に作り上げた心の癖です。
これは様々な事例があるので全てを取り上げるわけにはいきませんが、
ひとつだけお話ししましょう。
例えば、子供の頃、
自分が正しいと思ってやったことを、
親が褒めてくれなかったり、あるいは怒ったりして、
自分のこと認めてくれないと、
大人になってから、
人から嫌われたり、批判されたり、
間違いを指摘されることなどに強い反応を示すようになることがあります。
それが良いか悪いかということではなく、
人の心というのはそのように形成されていくということです。
そしてそれが大人になっても
性格的な癖として表に現れます。
恐怖心を取り除くためには、
その癖を取り除かなければなりませんが、
それを治すためには、
それに気づくことが第一です。
「ああそうか、自分が人から嫌われることを恐れているのは、幼少期に親から認めてもらえなくて、そのせいで認めてもらえないことに対して恐怖心を持ってしまったんだな」
という風に気づきます。
つまり、嫌われることを恐れるもっと根本の原因に気づくということです。
そして次に、
人から嫌われることを恐れるような、現在の場面に出会ったら、
「今、自分は嫌われることを恐れているけど、これは、目の前にいる人から嫌われることを恐れているわけではなく、本当のところは、この人が自分を認めてくれないことを恐れているのだ。」
と気づきます。
つまり、今の自分の心の反応は、それが正しいわけではなく、ただの癖だということに気づきます。
それから
「相手が自分のことを認めるか認めないかは、相手が勝手に決めることである。それは私の能力とは関係がない」
と正しく思いなおすことです。
もし、それでも心の恐怖心がとれないのなら、言葉を重ねましょう
「相手が自分のことを認めるか認めないかは、相手が勝手に決めることである。それは私の能力とは関係がない。能力の高い人なら私のことを認めてくれるだろう。能力が低ければ私のことを嫌いになるだろう。そうであるなら私は嫌われることを喜ぼう。物を見る目のある人は世の中には少ないものである。私は、その数少ない人の目に適うことを喜びとしよう」
というように自分の心に声をかけてみてください。
言葉は自分らしい言葉で構いません。
そして、この最後の
「相手が自分のことを認めるか認めないかは、相手が勝手に決めることである。それは私の能力とは関係がない」という部分が、行動原理の①の講義でお話した内容に繋がります。
そして、もう一つ観察してみてもらいたいことがあります。先程、子供の頃に親から認めてもらえないことが恐怖心の根源になることがあるというような話をしましたが、ということはつまり、大人になってから嫌われることを恐れるというのは、本当は「相手から嫌われることを恐れている」のではないということです。そうではなく、相手の感情的な反応(好きになったり嫌いになったりということですが)を通して、自分で自分の評価をしているということなんです。
つまり、嫌われること自体には大した意味はなくて、本当の問題は、人の感情的な反応を自分の価値の判断基準にしてしまっていることなのです。
それはつまり、小さな頃に感じた親の反応を今でも周りの人に投影してしまっているということなんです。
小さな子供にとっては親の反応は全てですから、そこに基準を合わせる必要がありました。親が基準である以上、親から認めてもらえないということは自分が間違っていることとイコールです。しかし、多くの場合、そんな親も間違っています。それなのに、私たちはその感情的な反応の癖だけを大人になっても持ち越してきてしまい、人の反応を自分を測る基準としてしまい、人の反応を恐れるようになってしまいます。
しかし今や、自分を測る基準は自分自身です。
自分は、自分の理想とする人の像を基準に自分を測るように変わっていかなければなりません。
なぜなら、周りの人の感情的な反応を自分を測る基準にしていたら、いつまでたっても人は心の成長ができないからです。
そして、自分を拠り所として、自分自身を判断の基準として生きる方法こそが瞑想なのです。
そういう点も踏まえながら、この動画の後に是非、行動原理①をもう一度聞いてみてくださいね。また感じ方が変わってくるはずです。
日々の積み重ねで心の反応は変えられるか
そして最後に、日々の積み重ねで心の反応を変えられるかということですが、
これは確実に、しかもかなりの短期間で変えることができます。
そのためには、まずは頭の理解が先です。
頭で正しく理解して、その後から心の状態がついてきます。
こうしてコメントなどで疑問点などをいただければ、
学習の成果が出るのもますます早くなると思います。
コメントをいただけるのは私たちも嬉しいことですので、
これからもどんどんよろしくお願いします。
今回は、前回の動画の補足とコメントに対する返信でした。
それではまた次回の講義でお会いしましょう。
補足
2点ほど補足です
一つは、根本の恐怖心は人によって違うということです。今回は一つの例として幼少期に母親から認められないことが、嫌われることを恐れる根本の原因として取り上げましたが、この根本の恐怖心は人によって違います。
これは、今後、行動原理の講義が進む中で、個別の事例として様々なものを扱っていきますので、今回自分に当てはまらなかった人も、「自分には当てはまらない」と考えず、どうぞこの先に学習を進めてください。
もう一点は、今回の講義の内容を深く理解するために一つ質問をします。
例えば、あなたのことを嫌いな人が、あなたの能力は高く買っているとしたらどうでしょうか。
昔、田中角栄の政権を支えた後藤田正晴という素晴らしい政治家がいましたが、彼はこんなようなことを言っていました。
「私は自分が好きか嫌いかで人事を決めることはない。仕事ができるかできないかで決める。自分がどれだけ嫌いな人であっても、仕事ができるなら私はその人を採用する」
と。
もし、あなたが嫌われることを恐れる人が、あなたのことを嫌いであっても、その人があなたの仕事ぶりや人格には一目も二目も置いており、そのことをあなたも知っているとしたらどうでしょうか。
それでも、あなたの「人から嫌われることへの恐れ」は1%も変わりませんか?
ここでガラッと見える世界が変わる人は、「嫌われること」自体ではなく、「自分が認められないこと」を恐れていると言えます。
そして、多くの場合、そのような状況になれば世界はガラッと変わるはずです。
その点も踏まえて今回の講義と前回の行動原理①も聞きなおしてみてくださいね。
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