たった10分の瞑想で脳深部が変わる!
こんにちは、かえる先生です🐸
「瞑想って、何年も修行しないと効果が出ないんじゃないの?」 「初心者の自分には関係ない話でしょ?」
そんな風に思っていませんか?
今日は、2025年に発表されたばかりの画期的な研究をご紹介します。この研究は、瞑想初心者の方々に大きな希望を与える内容となっています。
脳の奥深くで何が起きているのか?
瞑想が心身に良い影響を与えることは、古来から言われてきました。しかし、実際に脳の中で何が起きているのか、特に感情や記憶を司る脳の深部では何が起こっているのか、これまで詳しく調べることができませんでした。
なぜなら、通常の脳波計測(頭に電極をつける方法)では、頭蓋骨で信号が弱まってしまい、脳の深い部分の活動を正確に捉えることが難しかったからです。
革新的な研究手法:脳の中から直接測定
2025年、米国マウントサイナイ医科大学のMaher博士らの研究チームは、この難問を解決する革新的な方法を使いました。
RNSデバイスという、てんかん治療のために頭蓋内に埋め込まれる医療機器を活用したのです。この装置は、脳の深部、特に**扁桃体(へんとうたい)と海馬(かいば)**の活動を直接記録することができます。
- 扁桃体:恐怖、不安、怒りなどの感情を処理する中枢
- 海馬:記憶の形成や情動の調節に関わる重要な領域

実験の内容:初心者でも効果あり!
研究チームは、瞑想経験がほとんどない8名の成人を対象に実験を行いました。
実験の流れ:
- まず5分間、音声ガイドでリラックス状態に(ベースライン測定)
- 次に10分間、音声ガイド付きで**慈悲の瞑想(LKM)**を実践
- 瞑想中の脳深部の活動をリアルタイムで記録
慈悲の瞑想とは? 自分自身や他者の幸福を祈る思考に意識を集中させる瞑想法です。怒りや不安を和らげ、思いやりやつながりの感覚を育む効果があります。
驚きの研究結果:脳波に明確な変化
解析の結果、瞑想前と比較して、扁桃体と海馬で明確な脳波の変化が観察されました!
📈 増加したもの:ガンマ波(30-55Hz)
- 幸福感や前向きな気持ちに関連
- 高度な集中状態を示す脳波
- ポジティブな情動との関連が報告されている
📉 減少したもの:ベータ波(13-30Hz)
- ストレスや不安の強いときに高まる脳波
- この活動が落ち着いていた
- 心が安定している状態を示す
つまり、たった10分の瞑想で、脳は「不安モード」から「集中・幸福モード」へシフトしたのです!
この研究が教えてくれること

1. 初心者でも脳は応えてくれる
「経験がなくても脳は応えてくれる」——これが今回の研究が示した最も希望に満ちたメッセージです。何年も修行を積む必要はありません。今日、今この瞬間から始めても、あなたの脳は変化を始めます。
2. 薬や機器を使わない「神経調節」
瞑想は、薬や特別な機器を使わない、安全で手軽な方法です。それでいて、感情や記憶に関わる脳深部の活動パターンを変えられる可能性があります。
3. 日常生活の質向上につながる
扁桃体と海馬は、不安やうつ、PTSD などの気分障害と深く関係しています。瞑想によるこれらの領域の調整は、日常生活のストレス対処や記憶力アップにつながる可能性があります。
私の瞑想ガイドブックから:瞑想とは何をするものなのか
私が書いた瞑想ガイドブックでもお伝えしていますが、瞑想とは「特定の目的を持って行う脳内訓練」です。
勉強が外的な知識を得るための脳の訓練であるのに対し、瞑想は内的な感覚をコントロールするための脳の訓練といえます。
例えば、試験でほんのわずかな差で負けてしまったとき:
- ふてくされる子もいれば
- 泣く子もいれば
- すぐに諦める子もいれば
- 次こそはと闘志を燃やす子もいます
この心の状態を自分でコントロールする方法が「瞑想」なのです。
そして今回の最新研究は、その瞑想が実際に脳の物理的な活動を変化させることを、科学的に証明してくれました。
今日から始められる:10分間の慈愛の瞑想
この研究で使われた慈悲の瞑想は、音声ガイドに従って行うだけなので、初心者の方でも簡単に始められます。
基本的な流れ:
- 静かな場所で座る(椅子でもOK)
- 目を閉じて、ゆっくり呼吸する
- 音声ガイドに従って、自分や大切な人の幸せを願う言葉を心の中で繰り返す
たったこれだけで、あなたの脳の扁桃体と海馬は、ポジティブな方向へと変化を始めます。
実際に研究で使われたガイダンスをここで用いることはできませんが、代わりとなる「慈愛の瞑想」のガイダンスをここに載せておきます。日々取り組めば、研究結果と同じ脳の変化をあなたも起こせるはずです。
注意点:まだ分からないこともある
もちろん、この研究にはいくつかの限界もあります:
- 被験者が8名と少人数
- 全員がてんかん患者という特殊なグループ
- 一回限りの短期的な効果の観察
- 継続した場合の長期的な変化は未確認
研究チームも「これはあくまで基礎的な第一歩」と述べており、今後さらなる検証が必要です。
しかし、それでもこの研究は、瞑想の効果が単なるプラセボ(思い込み)ではなく、実際の脳活動の変化を伴うものであることを示す重要な証拠となりました。
まとめ:今日から10分、始めてみませんか?
- ✅ たった10分の瞑想で脳深部が変化
- ✅ 初心者でも効果が現れる
- ✅ 扁桃体と海馬でガンマ波増加、ベータ波減少
- ✅ 安全で手軽な「神経調節」方法
- ✅ 日常生活の質向上につながる可能性
「瞑想は難しそう」「自分には無理」と思っていた方へ。
科学が証明しました。
あなたの脳は、たった10分で変わり始めます。
まずは音声ガイド付きの慈悲の瞑想から、
一歩を踏み出してみませんか?🐸
参考文献: Maher, C., Tortolero, L., Jun, S., et al. (2025). Intracranial substrates of meditation-induced neuromodulation in the amygdala and hippocampus. Proceedings of the National Academy of Sciences, 121(28), e2401618121.
次回予告: 次回は、「呼吸と不安をコントロールする脳回路の発見」について、2024年11月にNature Neuroscience誌に発表された最新研究をご紹介します。深呼吸がなぜ不安を和らげるのか、その科学的メカニズムが明らかになりました!


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